ピープルオペレーション部門長の Anna Binder が語るリモートオンボーディングのコツ
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引き続き採用を行っている企業は、どのようにすれば一度も顔を合わせずに新規採用者をオンボーディングできるのか、と悩んでいることでしょう。ビデオ通話や明確なコミュニケーションチャネルは使えるものの、新しいリモートワークのスタンダードを考慮すると、オンボーディングプログラムは内容が以前とは少し変わってくるはずです。
新規採用者の労働意欲を維持し、世界中にいるマネージャーが通常のオンボーディングのときと同じレベルの配慮と信頼性をリモートオンボーディングにも投入できるように、Asana でピープルオペレーション部門長を務める Anna Binder にいくつかのコツを聞きました。彼女は次のように話しています。
マネージャーが新規採用者をリモートオンボーディングする際に役立つコツ
1. 初日の前に新しいチームメイトとつながる機会を設ける
新規採用者がチームとのつながりを実感できるようにするため、マネージャーに新規採用者が初日を迎える前に、本人と連絡を取り、少し親しくなっておくことを推奨しています。Asana では、新規採用者の初日の前に、必要な情報、初日の予定、そして配属先のチームメンバーからのフレンドリーな挨拶を伝えるなどして、本人がモチベーションを維持できるようにしています。
オンボーディング前のすべてのコミュニケーションに参加すれば、必要なときに追加のサポートを提供できます。新しい仕事を始める前には聞きたいことがたくさんあるものです。周りの環境が著しく変化している時期にはなおさらでしょう。新規採用者にマネージャーやチームメイトとの連絡手段を提供すれば、新規採用者は質問の答えを得ることができるほか、始まってもいないのに抱えてしまいがちな不安を抑えられます。
さらに、当社では新規採用者と同じチームまたは近くにいるチームの既存メンバーとのメンターシッププログラムを立ち上げるよう推奨しています。Asana では、新規採用者と、その人のマネージャー以外のメンターとをペアにしています。入社 1 週目でいきなりマネージャーを質問攻めにしたい人はいないでしょう。したがって、チームメイトを新規採用者の拠り所になる存在として指名しています。新規採用者を進んで支えるメンター志望者の中から 1 人選択し、新規採用者がメンターのガイダンスを受け、モチベーションと気持ちのサポートを得ながら仕事を始められるようにしています。最初の数週間、新規採用者に職場の状況やタッチポイントを伝えるために、メンターや職場の仲間がいることは、リモートオンボーディングでは特に大切なことです。
2. 初日を意味のある日にする
オンボーディングは、従業員が最初に学校に通った日に感じたのと同じくらい特別に感じる大切な瞬間です。しかし、新規採用者が新しいカルチャーになじみ、それぞれが本来の自分でいられるスペースを作り上げることではなく、仕事を始めて貢献するための準備に主眼が置かれていることがしばしばあります。
リモートで行う新規採用者のオンボーディングは、まずチームメンバーの名簿、共有カレンダー、社内のコミュニケーションチャネルなどの重要なリソースが簡単に、そして明確にアクセスできることを確認することから始めます。ただし、それらはその日の中核的な焦点ではありません。他のチームメイトと同じ部屋にいるという実感をできるだけ再現します。これを行うために、私たちは、Slack で新規採用者用のオンラインコミュニティを立ち上げ、バーチャル歓迎昼食会を開いたり、それぞれの役割の中で一緒に仕事をするチームメイトとの 1 対 1 のバーチャルコーヒーミーティングをセットアップしたりしています。
1 日目の終わりには、リモートの新規採用者の声を聴きます。初日を振り返る時間を設け、本人がその内容を共有するスペースを与えます。また、メンバーたちとのつながりをより強く実感できるように、改善したり、変更したりできることがないかと本人に尋ねます。こういったプラクティスを取り入れることで、新規採用者は最初から存在を認識されている、意見を考慮されている、そして仲間として迎えられていると感じることができます。
3. コミュニケーションのパターンは同じだと思い込んではいけない
オフィス環境のチームとして確立したコミュニケーションのパターンは、分散して働く環境では不適切かもしれません。リモートチームのスタンダードを決めた「約束事」や、コミュニケーションに期待されること、進捗確認を行う頻度などを確立するための時間を設けます。そして、その内容を新規採用者に明確に伝えます。
インクルーシブなリモートチーム作りには、チームメンバー全員が仕事の状況を簡単に把握し、各自の仕事がチームの大きな目標にどう関連しているのかを明確にわかるようにするということが含まれます。Asana を使えば、チームメンバーはたとえ別の時間帯に働いていても、こういったすべての情報を検索してアクセスできます。「仕事の解剖学: リモートチーム調査」によると、グローバルワーカーの 3 分 の 2 近く (62%) が在宅ワークをするときにコラボレーションソフトウェアやメッセージングツール、ビデオ会議ツールをより頻繁に活用しており、このアプローチが上手に機能することがわかります。また、アメリカで働くナレッジワーカーの 25% はコラボレーションツールを初めて使用していることもわかっています。
新規採用者に好みのコミュニケーション手段について尋ね、一緒に働く方法を明確に取り決めることにより、オープンで透明性のある姿勢を見せます。初日から信頼関係を養うことができるよう、私たちは、マネージャーに自分自身の弱点や在宅ワークの現状、または仕事とプライベートの境界の引き方などについて率直に話すことから始めるよう働きかけています。これにより、新規採用者は安心して自身の体験を語れ、最終的にはマネージャーとチームの間で強く長期的な関係が生まれます。
4. 新しいチームメイトを他の職場のコミュニティに紹介する
新規採用者はリモートチームへの参加に孤独を感じたり、チームや会社とつながることに苦労することもあります。この移行をできるだけスムーズに、そしてインクルーシブに行えるよう、新規採用者に、つながりたいと思う職場のコミュニティや参加したい Employee Resource Groups がないかどうかを尋ねます。
特に、リモートワークの影響を不相応に受けているグループに注意を払います。過小評価を受けているマイノリティ、子育て中の親、そして異なるタイムゾーンにいるチームメンバーはリモートワークにおいて大きな課題に直面しています。そのため、早い段階でこういったメンバーたちが会社のコミュニティとのつながりを確立できるようにするためのイニシアチブをとることは、インクルーシブなコミュニティを作ること、および新規採用者が本来の自分でいられるようにするための最適な手段であると言えます。
リモートワークを始める方向け: 成功につながる土台作りの方法
1. 境界線と指示内容を明確にする
仕事のリズムとペース、そして生産的な 1 日の内容は変わってしまいました。「仕事の解剖学: リモートチーム調査」によると、グローバルワーカーの 60% 近くは以前とは違う時間帯で働いており、80% 近くの親は仕事をしながら子供を家庭教育していることがわかっています。新規採用者、特に、家庭で子供の通信教育なども行っている方は、この状況に戸惑ってしまうこともあるでしょう。
新規採用者は、初日を迎える前に、職場で提供されている柔軟な制度や、在宅ワークをするときの勤務可能時間を伝える最適な方法について尋ねるようにしてください。まずは人事部と相談してから、他の細かいことは直属のマネージャーと話し合ってください。
Asana では、全従業員に、勤務可能および不可能な時間、気持ちを休める時間、および定期的な休日をカレンダーに示すよう働きかけています。こういった事柄を明確にしておくと便利ですし、在宅勤務と休暇との違いを肝に銘じておくことは大切です。
2. 社内の他のコミュニティに参加する。
マネージャーに、新しい勤務先で活動する共通の関心事ベースのグループについて尋ねてください (存在する場合)。たとえば、定期的な会話の場を提供している Employee Resource Group や、パン作りやヨガ、映画、音楽など、自分の好きなことを中心に行っている社内チャネルがあるかもしれません。こういったグループとつながり、仲間入りすれば、会社全体で新しい人たちとの出会いがあるかもしれません。
新規採用者にはたくさんの情報が与えられるため、リモートで働きながら、自分の好きなコミュニティを見つける努力をすると同時に新しい会社について学ぶということを困難に感じる場合があるかもしれません。参加する機会やその方法について心配なことがある場合は、1 週目の間にマネージャーまたはチームメイトに相談する予定を立ててください。直接会って参加できないアクティビティや集まりへの参加を決めるのはとても難しいことです。したがって、そういった場を積極的に探し求め、それに関する質問をすることは欠かせません。
リモートワーカーにとって、新しい職場で好きなコミュニティを発見することは、かつてないほど大切になっています。コミュニティ全体とつながることに苦労している場合は、知り合いになった個人やチームメンバーに、昼食会やコーヒートークなどに付き合ってほしいと伝えてみましょう。